秘密の地図を描こう

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 手がかりがあれだけあれば、目的のデーターにたどり着くのは難しくない。
 しかし、だ。
「薬品は何とかなるとしても……問題は、これだね」
 彼らの体調を整えるための専用の機械。
 これが手元になければ、彼らは普通の生活を送れない。投薬でしばらくは何とかなったとしても、だ。
「でも、設計図があるなら、何とかなるかもしれません」
 資材は回してもらえるだろうし、とニコルは言う。
「確かに。設計図があるなら、作れると思うぞ」
 そういうのは得意だからな、とマードックもうなずいてみせる。
「そうですね」
 必要なプログラムも入手できた。だから何とかなるだろう、とキラもうなずいて見せた。
「問題があるとすれば、時間だけです」
 アウルに関しては大丈夫だろう。問題は、レイ達が保護した少女の方だ。
「よくもまぁ、あそこまでつつきましたものです」
 ニコルがため息混じりにはき出す。
「それでも、レイ達が頼ってきてくれたんだ。せめて普通に暮らせるようにしてあげたいよね」
 戦い以外のことも教えてあげたい。キラはそう思う。
「そうですね。とりあえず、機材の方は何とか手配します」
「俺らで無理な分は、モルゲンレーテかジャンク屋に依頼するしかないだろうな」
 二人の言葉にうなずいてみせる。
「さて……」
 次の瞬間、ニコルが苦笑を浮かべた。
「出迎えないとふてくされますよ」
 誰が、とは彼は言わない。
「ラウさんが行っているから、大丈夫じゃないかな?」
 別に自分が行かなくても、とキラは思う。それよりも、すぐにでもプログラムの解析を始めたい。
「それだと暴れますよ……特に、シンが」
 即座にニコルがそう言い返してくる。
「久々に会うんだろう? 顔ぐらい見せてやれって」
 さらにマードックに言葉とともに背中を叩かれた。
「ついでに、あっちの様子も聞いてこい」
 あっちというのはアスランのことだろうか。
「五分や十分、作業開始が遅れても大丈夫だろうよ」
 確かに、それはそうかもしれない。だが、気持ち的にどうなのかと言われれば悩む。
「焦ってもどうもなりませんよ」
 行きましょう、とニコルは彼の腕をとる。そして、そのまま立ち上がった。当然、キラもつられて立ち上がる羽目になる。
「ちょっと、ニコル!」
「いいから、いいから」
 言葉とともに、彼は軽々とキラを引きずっていく。
「それとも、お姫様だっこの方がいいですか?」
 さらに彼はこう言って脅してくれる。
「……わかったから、引っ張らないで」
 ニコルにそんなことをされたら、間違いなくカガリがおもしろがってやろうとするに決まっているのだ。そして、ラクスもそれをあおってくれるはず。
 さらにミリアリアが写真に納めようとするのではないか。
「キラも本当にひとつのことに目が向くと周りのことを考えられなくなりますね」
 ようやく引っ張る力を弱めて、彼はそう言った。
「おそらく、ミゲルからの伝言もあると思いますよ」
 にこやかな表情で付け加えられても、うかつにうなずけない。
「それ、今考えたでしょう」
「やっぱりわかります?」
 キラの問いかけにニコルは即座にそう言い返してくる。
「……遊ばれてるの、僕……」
 思わずため息とともにこうはき出してしまう。
「聞きようによっては怖いセリフですよね」
 あはは、と笑うニコルに、やっぱりからかわれているのかもしれない。それでも、下手に反論できないよね……とキラは心の中で呟いていた。


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最遊釈厄伝